着方レッスンコラム基本知識編
着物と浴衣の違いは?それぞれの着用場面(シーン)をご紹介!
2024.05.15
こんにちは!
「着たい人を、着る人に」
まるやま・京彩グループです。
着物と浴衣は、どのような違いがあるのでしょうか。
着物は「冠婚葬祭の時に着る」衣類で、浴衣は「夏の季節に着用する」というイメージの人が多いのではないのかと思います。
ですが、もしも夏の季節に結婚式のお祝い事や弔事がある場合、「夏の季節の着物だから」と言って浴衣を着用してもいいのかと、考えてしまいますよね。
今回は、着物と浴衣の違いや、それぞれの着用場面(シーン)をご紹介します。
目次
1.着物と浴衣の違いは?
着物と浴衣の違いをご紹介します。
まずは、それぞれの始まりの歴史から紹介します。
①着物とは?
とても昔の着物は、ワンピースタイプやズボンやスカートの上に衣類を着る、という組み合わせで着用されていました。
今の着物の形(小袖)になったのは「平安時代」と言われています。
平安時代の貴族は、「十二単衣」という装束で着物を重ね着していました。ですが武士(武家)や一般の人たちは、貴族たちが十二単の下に着ていた「小袖」を着て生活をしていたそうです。
やがて貴族の時代から武士の時代に変わると、武士が着用していた小袖が主流になり、江戸時代に今の着物の姿ができました。
②浴衣とは?
諸説ありますが、昔、浴衣は「湯帷子(ゆかたびら)」と呼ばれていました。
湯帷子は、お風呂に入るときに着用されていた衣服で、昔のお風呂は今で言う「サウナ(蒸し風呂)」だったそうです。
汗を取りつつ、蒸気でヤケドをしないように、湯帷子を着て入浴していたそうですよ。
その後、時代の流れと共に、お風呂は蒸し風呂から、お湯を張るお風呂へと変化していきました。
その流れの中で、湯帷子を着用せず、裸でお風呂を楽しむようになり、湯帷子は「お風呂上り」に着用するようになり、寝間着にも使われるようになったのです。
③着物と浴衣は「和服」というカテゴリー
着物と浴衣は、和服というカテゴリーに入ります。 和服とは、日本の衣服の事です。
着物や浴衣は、生まれた歴史は違いますが、日本で昔からある衣類ですから、二つとも「和服」というカテゴリーにはいります。
着物は、もともと「着る物」という意味でした。
ですが、明治時代から少しずつ「洋服」が日本で親しまれるようになり、それまでの衣類の事を「和服」と呼ぶようになり、さらに「和服=着物」と定着したため、振袖や留袖などの和服が「着物」と呼ばれるようになり、今に至ります。
2.着物と浴衣の違いとは?「着付け方法や道具が違う」
着物と浴衣には「歴史」という、大きな違いがありました。
他の異なる点も併せて、ご紹介します。
①着物と浴衣の違い「着物の着付けや道具」
着物と浴衣の着付けは、用意する小物も違います。
着物の着付けに必要なアイテムは下記になります。
- ・長襦袢
- ・半襟
- ・丸帯・袋帯・名古屋帯・半幅帯など
- ・帯揚げ・帯締め(帯枕も)
- ・足袋
- ・草履・下駄・雪駄
着物では、長襦袢に半襟を付け、帯には帯揚げや帯締めが必要です。
そして、着物の時には足袋を履くことがマナーですから、足袋の用意もしておきましょう。
②着物と浴衣「浴衣の着付け」
浴衣の着付けと着物の着付けは違います。
浴衣の着付けと、着物の着付けを比べてみました。
- ・浴衣は、長襦袢を着用しない
- ・浴衣の帯は、半幅帯・兵児帯(子供用の帯)
- ・浴衣は帯締め、帯揚げ、帯枕をしない
- ・素足(足袋を履く時もある)で下駄
浴衣の方が着物よりも、着付けが簡単で道具も少ないです。
あまり着物を着たことが無い人も、浴衣から着物生活を始めてみることをおすすめします。
3.着物と浴衣の違いは?「素材の違い」
着物と浴衣の違いに「素材」があります。
①着物の素材は?
着物が作られている素材は、正絹から化繊と幅広い素材で作られています。
素材の特徴は下記になります。
- 正絹…光沢があり、柔らかい
- 麻…肌触りがサラリとしている、少し繊維が固い
- 紬…先染めの糸で織られた布地、シワになりにくい
- ウール…厚みがあり暖かい
- 化学繊維(ポリエステル)…化学繊維の布で作られた着物。近年では「自宅で洗える着物」としても販売されている
着物の布地は、さまざまな素材があります。
②浴衣の素材は?
浴衣の素材は、汗を吸いやすい綿や化繊と、自宅でも洗濯ができる、お手入れのしやすい素材で作られています。
素材の特徴は下記になります。
- 綿…水分を吸いやすい
- 化学繊維(ポリエステル)…発色がよく、自宅で洗える。吸湿性、速乾性に優れている
浴衣の素材は、綿だけではなく他の布地もありますが、最近は、お手入れのしやすい化学繊維も人気です。
4.着物と浴衣の違い「着用する季節がある」
着物と浴衣の違いとして、「浴衣は、着用する季節が限られている」という点があります。
①着物と浴衣、着用する季節はいつ?
着物と浴衣の着用する季節をご紹介します。
- 着物は、1年中着用できる
- 浴衣は、夏の季節(6月~9月)に着用する
「夏の季節は浴衣」というイメージがありますが、夏の季節でも着物は着用できます。
②着物は、仕立ての違う着物がある
着物には、「袷(あわせ・裏地が付いている)」と「単衣(裏地が付いていない)」という、季節に適した着物があるのです。
下記の時期が、着物の衣替えの季節になります。
- ・袷…10月~4月
- ・単衣…6月~9月
単衣の着物は、浴衣の季節と重なりますが、夏用の着物として着用します。
③夏用の着物とは
夏用の着物として、麻の布地の着物だけでなく、絽(ろ)や紗(しゃ)などの、薄くて涼しい素材で作られた着物があります。
ただ単衣の着物を着る季節が短いので、目にする機会も少ないかもしれません。
絽や紗の着物は、涼しさだけでなく、凛とした美しさも感じさせてくれる着物です。
絽や紗の長襦袢もありますから、単衣の着物を着用する時には、忘れないように用意しましょう。
5.着物と浴衣の違いは?それぞれの着用場面をご紹介
着物と浴衣の違い、それぞれの着用場面(シーン)をご紹介します
①着物の着用場面(シーン)は?
着物はどのような場面(シーン)で着用するのでしょうか。 着物は、素材によって着用するシーン(場面)も変わります。
- 正絹…フォーマル・セミフォーマル
- 紬、化繊(ポリエステル)…カジュアル
正絹で作られた着物は、主に公式なシーンで着用する「フォーマルウエア」と考えれば、わかりやすいかもしれません。 紬や化繊の着物は、外出する時のおしゃれ着や普段着として、よく着用されています。
②浴衣の着用場面(シーン)は?
浴衣を着用する主な場面(シーン)は、カジュアルな場です。
浴衣は、寝間着や部屋着として着用されていますが、夏祭りや花火大会で着用している人も多いです。
近年は、華やかな色や柄の浴衣も多く販売されていますし、着物よりもリーズナブルです。
浴衣でおしゃれを楽しんでくださいね。
6.まとめ
今回は、着物と浴衣の違いや、それぞれの着用場面(シーン)をご紹介しました。
- 着物と浴衣は、生まれた経緯(歴史)が違う
- 着物と浴衣は、着付けの方法や素材が違う
- 着物と浴衣は、着用する場面(シーン)が違う
着物と浴衣は、「着物」というカテゴリーの中で一つにまとめられています。
着物はフォーマルな場面で着用できますが、浴衣は、カジュアルなシーンに向いている衣服です。
浴衣は、着付けが着物よりも工程が少ないため、着物初心者にはおすすめの着物です。
帯の結び方もたくさんありますから、おしゃれを楽しんでくださいね。
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