着方レッスンコラム基本知識編
【シーン別】着物の選び方!お宮参りや卒業・結婚式を紹介
2024.04.02
こんにちは!
「着たい人を、着る人に」!
まるやま・京彩グループです。!
ハレの日を着物で迎えてみたい。
そう思っていても「着物は決まり事が多そうで心配…」と悩んでいる方は多いかと思います。
お洋服でもTPOに合わせたマナーがありますが、着物も同じようにマナーがあります。
そこで今回は、シーン別の着物の選び方をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてくださいね。
目次
1.シーン別に着物を選ぶための基礎知識!
生活をしていく中で、さまざまなイベント(シーン)があります。
それぞれのシーンで出席するときには、着物の種類(格式)を知っておくと、とても便利ですよ。
①着物の種類(格式)をご紹介
着物にはいろいろな種類があるので「どのようなシーンで、どの着物を着ればいいのかわからない」と迷う人は多いと思います。
そこで、まずは着物の種類(格式)をご紹介しますので、今後の参考にしてみてくださいね。
・第一礼装…打掛・黒留袖・振袖・黒紋付(喪服)・色留袖(五つ紋)
・略礼装(準礼装)…色留袖(三つ紋)・訪問着・付け下げ(一つ紋)・色無地
・外出着…付け下げ小紋・小紋・御召・紬・絞り・更紗
・普段着…紬・絣・ウール・木綿・浴衣など
男性の場合は、下記になります。
・第一礼装…黒紋付・色紋付(五つ紋)
・準礼装…色紋付(三つ紋・一つ紋)
・略礼装…羽織と長着
男性の『色紋付』は、女性の『色留袖』と同じ格ですが、五つ紋を付けると黒紋付と同格になります。
着物の格式は、布地で見分ける方法もありますよ。
・布地が染められている着物…格式が高く、式典などで着用される
・布地が織物の着物…普段着や外出着
「式に出席する時は、布地が染められている着物を着る」と覚えておけばいいかもしれません。
②紋や柄・帯にも注意が必要!
出席する式によって、紋や帯にも注意しておきましょう。
まずは、着物に入れる紋についてご紹介します。
着物には、紋が入るものと、紋が入っていない着物があります。
その違いは、下記のように考えればわかりやすいと思います。
・紋入り…礼装や略礼装など、格が高い着物
・紋が入っていない…普段から気軽に着ることができる着物
紋にも色々な種類や入れ方がありますが、ここでは紋の格式のみを紹介します。
・五つ紋…背中、袖の裏に1つずつ、抱き紋(胸元)が1つずつ
・三つ紋…背中、袖の裏に1つずつ
・一つ紋…背中のみ
紋の数が多いほど、格式が高くなります。
上記でご紹介した『色留袖』も、五つ紋で第一礼装、三つ紋で略礼装と、格式が変わりますので、式の前に確認しておいてくださいね。
着物の種類の紹介の後は、帯の格もご紹介します。
・丸帯…第一礼装
・袋帯…第一礼装・略礼装
・名古屋帯…外出着・普段着
・半幅帯…外出着・普段着
帯は他にも種類がありますが、普段よく使う帯をご紹介しました。
帯にも布地によって格式の見分け方があります。
・織物の帯…格式が高い
・染物の帯…普段着や外出着など、普段使いにおすすめ
帯は、織物の方が格式は高くなります。
2.お宮参りの着物の選び方
お宮参りは「赤ちゃんが無事に産まれました」と、産後1カ月ごろに神社に参り、神様に報告をしつつ、子どもの健やかな成長を祈る儀式です。
①赤ちゃんの着物の選び方
昔から赤ちゃんの正装は着物と言われており、お宮参りの時には、赤ちゃんも正装でのお参りを進められています。
お宮参りのときに着る着物は、『白羽二重』と『祝着(のしめ) 』です。
『白羽二重』とは、白い絹で織られた『内着(内側に着る着物)』のことで、柔らかさだけではなく、光沢もあり上品さをかもしだされます。
そして『祝着(のしめ) 』は、武家の礼装の名残で、裾や腰の部分に熨斗目(のしめ)模様の入った着物のことです。
男の子は、力強いイメージを持つ、鷹や龍・鎧兜などの絵柄に「凛々しく、たくましく」という願いがこめられ、女の子は、華やかな牡丹・蝶・御所車や花車などの絵柄に「美しく、優しく」という願いが込められています。
『白羽二重』を着て、『祝着(のしめ) 』を赤ちゃんに掛けてお参りします。
男の子の『祝着(のしめ) 』の色は、男性の正装の『黒紋付』と同じ黒ですが、近年では、灰色や紺色の『祝着(のしめ) 』も好まれて着用されています。
女の子の『祝着(のしめ) 』は、もともとは晴れ着を『祝着(のしめ) 』として着用していたと言われる説もあり、今では「赤やピンク・白など」華やかな色合いの『祝着(のしめ) 』が主流です。
他にも、『日差し除けの帽子』や、祝い着の汚れ防止のための『よだれかけ(スタイ)』を付けることもあります。
さらに地域によっては、縁起が良いと言われる小物を用意する場合がありますので、一例として、小物と込められた想いを紹介しますね。
・でんでん太鼓…「両面で音を楽しめるから、裏表の無い子供に育ちますように」昔から出産のときの贈り物として多かった、日本の伝統的なおもちゃ
・紐銭…「将来、お金に困りませんように」主に近畿地方の風習
子どもの健やかな成長を願う気持ちは同じですが、小物によって「どのような願い」を込めていたのか、とても興味深いですよね。
お住まい地域で小物がある場合、どのような願いが込められているのか、ご自身のお宮参りの時のお話と一緒に、ご両親に聞いてみてくださいね。
②パパ・ママの着物の選び方
赤ちゃんが正装である着物を着る場合、パパとママも赤ちゃんにそろえて、着物でのお参りをおすすめします。
パパの着物は『羽織と長着』の組み合わせがおすすめです。
お宮参りの主役は「赤ちゃん」ですから、パパもママも「略礼装(準礼装)」で、でもあまり堅苦しくない着物をおすすめします。
そして下記が、ママにおすすめの着物になります。
・訪問着
・付け下げ(一つ紋)
・色無地
略礼装(準礼装)として『色留袖(三つ紋) 』もありますが、色留袖では格式が高すぎてしまいます。
ですが、お宮参りは神様にご挨拶にいく行事です。
色留袖と同じ格式だけと、そこまで堅苦しくない『訪問着や付け下げ(一つ紋)・色無地』であれば、神様に対しても失礼ではないと思います。
パパとママの着物の色は、赤ちゃんよりも目立たないように、落ち着いた色合いの着物がおすすめです。
3.卒業式の着物の選び
子どもが、大学や専門学校を卒業する時の着物はどうすればいいのでしょうか。
そして、ご両親が卒業式に出席する時の着物も、悩みますよね。
①卒業式の着物を選ぶ時の注意ポイント!
卒業式の着物を選ぶ時の、注意するポイントをご紹介します。
卒業式は「卒業証書が授与される式」ですから、「格式が高め」と考えてもいいかもしれません。
ですがここで注意があります。
それは「卒業式に参列するご両親の着物は、格式の高い着物での参列はNG」ということです。
理由は「卒業式の主役は子ども」だからです。
「ご両親は子どもの付き添い」ということを忘れず、失礼の無い着物で参列しましょう。
②卒業式におすすめの着物の選び方!
ご両親が、卒業式に参列する時の着物は「略礼装の着物」がおすすめです。
女性の略礼装の着物は、下記になります。
・訪問着
・色無地
・一つ紋の付け下げ
『訪問着』は、胸元や肩の部分と袖・裾に華やかな模様が描かれているものが多く、『付け下げ』は訪問着よりもシンプルな絵柄の着物です。
紋が入っていない『付け下げ』は、本来は礼装には向きませんが、一つ紋を入れることで略礼装として扱われます。
卒業式では、着物の色にも気を配り、落ち着いた色合いの、グレーや薄紫・水色などがおすすめです。
卒業式を迎える子どもが、卒業式で着る着物は『振袖と袴』の組み合わせをおすすめします。
『袴』は、明治から大正時代にかけて「女子学生や女性教員の制服」として着用されてきた歴史があり、その名残で、卒業式に『袴』を履く卒業生や女性教員も多いのです。
今の時代では、女性が袴を履く機会はほとんど無く、卒業式の時にしか履く機会は無いと言ってもいいかもしれません。
『振袖』も、未婚女性の第一礼装ですから、卒業式での着用は問題ありません。
「学生を卒業する」という意味を込めて『袴と振袖の組み合わせ』で卒業式を迎えれば、学生時代の良い思い出として、いつまでも記憶に残るのではないでしょうか。
男性の場合もご紹介します。
卒業する子どもは『色紋付』での参列がおすすめです。
男性の第一礼装は『黒紋付』ですが、卒業式は門出を祝う式です。
男性の準礼装である『色紋付』の出席でも失礼ではありませんし、華やかさをプラスすることができます。
主役である卒業する子どもは『黒紋付』か『色紋付』で、付き添いのお父さんは略礼装の『羽織と長着』がおすすめです。
4.結婚式の着物の選び方
結婚式は、それぞれの立場によって着る着物が変わるため、悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。
特に親族として出席する場合は、親族間でのルールや新郎新婦の家同士で話し合う必要もあるため、結婚式の前に確認しておくことをおすすめします。
①新郎新婦の親や既婚の親族の場合
新郎新婦の母親や、既婚女性の親族が着用する着物は『黒留袖』です。
黒留袖は、既婚女性の第一礼装ですから、新郎新婦の母親や祖母・叔母は、黒留袖を用意すれば問題はありません。
ですが例外もあり、近年では、既婚でも『色留袖』で出席する若い女性も増えていますので、親族の方に相談してみましょう。
そして、新郎や父親が着用する着物は、第一礼装の『黒紋付』です。
親族の男性は着物ではなく『ブラックスーツ』で出席される場合が多いそうですが、男性も着物で参列してもいいかは、事前に確認しておいた方がいいと思います。
②新郎新婦の未婚の親族の場合
新郎新婦の親族で未婚女性(姉妹や叔母)の場合は、『色留袖』か『振袖』です。
『振袖』は未婚女性の第一礼装ですから、結婚式に着る着物として問題はありません。
ですが「振袖には年齢制限がある」と言われることもあり、独身でも30歳前後の未婚の女性は『色留袖』を着用することもありますので、親族の方々と相談してみてください。
③新郎新婦の友人や同僚の場合
新郎新婦の友人や同僚の立場で出席する場合は、一番悩んでしまいますよね。
新郎新婦の友人や同僚として出席する場合は、下記の着物がおすすめです。
・振袖
・訪問着
『振袖』は、新婦との関係を考えた場合、ちょっと抵抗を感じるかもしれません。
その場合は『訪問着』がおすすめです。
訪問着は、華やかな柄のものが多く、既婚や未婚を問わず着ることができるので、迷った場合には、訪問着を検討してみてください。
男性の場合は、カジュアルな『色紋付(一つ紋) 』をおすすめします。
5.まとめ
シーン別の着物の選び方と、お宮参りや卒業式・結婚式をご紹介しました。
・着物には「格式」がある
・お宮参り…赤ちゃんが主役、パパとママは控えめに略礼装で
・卒業式…子どもは第一礼装の振袖と袴で、両親は略礼装
・結婚式…出席する立場によって、着物も変わる
式の格式も大事ですが、参列する立場で選ぶ着物は変わります。
そして親族の考え方によっても、変わる場合もありますので、相談して着物を選んでいきましょう。
まるやま・京彩グループでは、着物好きの皆さんがステキな着物ライフを送れるよう、お役立ち情報発信をしていきます!
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