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着方レッスンコラム基本知識編

着物と浴衣の違いとは?見た目や着付け・小物でもご紹介!

2024.07.24

こんにちは!


「着たい人を、着る人に」


まるやま・京彩グループです。


夏に着る着物と言えば「浴衣」を連想する人は多いのではないでしょうか。

ですが浴衣以外にも、夏に着る着物もあります。

夏に着用する着物と浴衣の違いは、見た目や小物でも区別はつくのでしょうか。


今回は、着物と浴衣の違いはあるのか、見た目や着付け・小物などの違いをご紹介します。



1.着物と浴衣の違いは?


着物と浴衣の違いを、ご紹介します。


着物と浴衣は「生まれた歴史・起源が違う」という違いがあります。

そして着物と浴衣には、着用できる用途にも違いがあるのです。



①着物と浴衣の起源・歴史



着物と浴衣のそれぞれの起源と歴史をご紹介します。



1)着物の起源と歴史



昔の時代では、「貫頭衣(かんとうい)」と呼ばれる、布の中心に穴を空けて、頭からすっぽりかぶるタイプの衣類を着用していました。

時代の流れの中で、ツーピースの衣類が生まれたりしましたが、今の着物の原型は、平安時代くらいに着用されていた「小袖(こそで)」と言われています。

江戸時代くらいに、今の着物のスタイル「着物+帯」という組み合わせになったようですよ。


そして、明治時代に入ると、洋装の文化も浸透し始め、洋服は普段着として着用されるようになりました。

そのため、今まで着用していた衣類全般の着物は「和装」というカテゴリーの中にまとめられたため、着物と浴衣の起源や歴史は違っても、「浴衣も和装(着物)の一種」となりました。



2)浴衣の起源・歴史



浴衣の起源は、平安時代くらいからと言われています。

平安時代の貴族たちが、お風呂の中で着用していた着物のことを「湯帷子(ゆかたびら)」と呼びますが、この湯帷子が浴衣の原型です。

「浴衣」は「湯帷子(ゆかたびら)」を省略した呼び名だそうですよ。


昔のお風呂は、今のように湯船にお湯を張るタイプではなく、サウナのようなお風呂だったそうですよ。

湯帷子は、ヤケド防止や肌を隠すために着用していたそうです。


その後、時代の流れとともに、お風呂事情も変化したため、お風呂上りに着用する衣類へと変わりました。

安土桃山時代には、お風呂上りや寝間着として浴衣を着るように変化したそうです。


明治時代に入ると、それまで着用されていた衣類全般は「和装(着物)」というカテゴリーに入ったので、浴衣も和装(着物)の中の一つになりました。



②着物と浴衣の大きな違い「浴衣は着る季節が限られている」



着物と浴衣の大きな違いは、着用できる季節に限りがあるという点です。


  • ・着物の着用時期…1年中
  • ・浴衣の着用時期…夏(寝間着としてなら1年中)

浴衣は夏の着物というイメージがありますが、着物にも夏用の着物があります。


  • ・単衣(ひとえ)…6月~9月
  • ・夏用の着物(薄物)…7月・8月

夏用の着物は、カジュアルからフォーマルなシーンに着用できます。

対して浴衣は、着用できる季節は「夏」に限定され、着用する用途も「カジュアル」なシーンで、フォーマルなシーンには向きません。



2.着物と浴衣の見た目の違いは?


着物と浴衣の見た目の違いはあるのかを、ご紹介します。


着物と浴衣の見た目の違いは、あります。

ですが「形が違う」ということではありません。


着物と浴衣は、同じ形で仕立てられています。

ただ着物と浴衣では、着方(着合わせ)が違うため、見た目に違いがあるのです。



①着物と浴衣の見た目の違い「衿が2重になっている方が着物」



着物と浴衣の着付けに関しては下記でご紹介しますが、着物と浴衣の見た目の違いは、衿元が違います。


  • ・着物は下に長襦袢を着用するので、衿の見える部分が2重になっている
  • ・浴衣は下に肌襦袢を着用するので、浴衣本体の衿しか見えない

詳しくは、下記でも紹介しますが、着物と浴衣の着付け(着方)が違うため、見た目の違いがあります。



②着物と浴衣の見た目の違い「足袋を履いている方が着物」



着物と浴衣の見た目の違いは「足袋を履いているかどうか」という点もあります。

着物のマナーとして、下記が基本的なルールです。


  • ・着物を着るときは、足袋を履く
  • ・浴衣を着るときは、素足

最近では、浴衣を着るときに足袋を履いて「おしゃれ」を楽しむケースもありますが、基本的に、上記のルールがありますので、着物と浴衣の見た目の違いの一つになります。



③着物と浴衣の見た目の違い「素材が違う」



着物と浴衣の見た目の違いとして、使用されている素材が違うという点もあります。

浴衣と同じ時期に着用される「夏用の着物(薄物)」の素材と、浴衣の素材をご紹介します。


  • ・夏用の着物(薄物)の主な布地素材…正絹・絽(ろ)・紗(しゃ)・麻(あさ)・化繊など
  • ・浴衣の主な布地素材…綿・化繊など

着物は、フォーマルからカジュアルなシーンまで対応できるため、さまざまな素材の布地で作られています。

対して浴衣は、湯上りや寝間着という用途で着用されていたため、通気性が良く汗を吸いやすい、さらにお手入れがしやすい素材の布地のものが多いのです。



3.着物と浴衣の着付けの違いは?


着物と浴衣の着付けの違いはあるのかをご紹介します。


着物と浴衣の着付け方法には、大きな違いはありません。

ですが着付けをする過程で「着用するもの・着用しないもの」があります。



①着物と浴衣の着付けの違い「長襦袢」



着物と浴衣の着付けの大きな違いは、長襦袢を着用するかどうかです。


長襦袢は、肌襦袢の上に着る肌着で、着物を着る時には必ず着用します。

ですが浴衣を着る時は、肌襦袢の上に浴衣を着用するので、長襦袢は着用しません。


そのため浴衣の着付けは、着物の着付けよりも簡単で、更に短時間で終わらせることができるので、着物初心者におすすめです。



②着物と浴衣の着付けの違い「シーンによって着用する着物が変わる」



着物と浴衣は、着用できるシーンが違うという点もあります。

そのため、そのシーンに合わせて着用する着物を考えなければなりません。


  • ・着物はフォーマルからカジュアルなシーンで着用する
  • ・浴衣はカジュアルなシーン

着物は、冠婚葬祭というフォーマルシーンだけでなく、普段着や外出着と幅広い用途で着用ができます。

ですが浴衣は、もともとは「寝間着」として着用され、夏祭りや花火大会という、カジュアルな外出に着用されますので、着物ほど組み合わせに頭を悩ませることはありません。


ただし浴衣の着付けは、着物の着付けを簡単にしたものでもあります。

初心者の方は、浴衣の着付けから学んでいけば、着物の着付けもマスターしやすいのではないでしょうか。



4.着物と浴衣の小物の違いは?


着物と浴衣の小物の違いをご紹介します。



①着物と浴衣の小物の違い「履物が違う」



着物と浴衣の小物の違いは、履物が違います。


  • ・着物…草履(ぞうり)
  • ・浴衣…下駄(げた)

上記が一般的なマナーです。

着物を着る時は、ブーツと組み合わせて履くケースもありますね。



②着物と浴衣の小物の違い「帯飾り」



着物と浴衣の大きな違いは、帯の飾りもあります。


  • ・着物…帯+帯揚げ+帯締め
  • ・浴衣…半幅帯

近年では、華やかな浴衣の装飾に、帯を結んだ後にも、何らかの飾りをつけることもありますが、基本的に、浴衣の帯だけでいろいろな結び方を楽しみます。

対して着物の場合、着物を華やかに見せるための「帯揚げ」や、背中のお太鼓結びが崩れないようにするための「帯締め」が必要です。


着物は、「帯+帯揚げ+帯締め」という組み合わせで着用することが基本です。

ですが夏着物をご家庭で着用する時には、「単衣の着物と半幅帯」という組み合わせで過ごす方もいらっしゃいます。

着物は敷居が高いと思われることもありますが、自宅でくつろぐ時には、過ごしやすい着方で着物を楽しむこともできますよ。



まとめ



今回は、着物と浴衣の違いはあるのか、見た目や着付け・小物などの違いをご紹介しました。


  • ・着物と浴衣は、起源や歴史は違うけれど、和装というカテゴリーに入る
  • ・衿元や足元の履いている下駄や草履で、着物か浴衣かを見分けられる
  • ・着物と浴衣は、着付け方法が違う
  • ・着物は、小物(帯揚げ・帯締めなど)が必要だが、浴衣は無くても問題なし

着物と浴衣は、生まれた起源や歴史から違いがありますが、着用する用途や着付けの方法(着方)、使用する小物にも違いがあります。

フォーマルな場面では、マナーに沿って着用することが大切ですが、生活の場では、過ごしやすい組み合わせで着物を楽しんでくださいね。


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